年間を通して、様々な健康診断が行われていますが皆さんは受けられましたでしょうか。 そしてその結果で、異常のお知らせはなかったでしょうか。 今回は、尿検査や血液検査の結果で<尿糖が陽性>又は<血糖値が高い>ことをお知りになった方に向けて、糖尿病についてまとめてみました。
病気について
- 糖尿病とはどんな病気でしょう。
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初期では、症状もなく静かに忍び寄ってくる慢性疾患であり一生の病気です。
血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が、高い状態で持続する病気で、悪い状態が続くと眼や腎臓の障害、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
血糖値とは 血液中の、ブドウ糖量のことで糖尿病の診断基準となります。 ( mg/dlで 表されます。) 血糖値160-180mg/dlになると尿中にも出て、尿糖陽性なります。尿糖陽性でも血糖値正常な人は、腎性糖尿といって糖尿病とは違います。
- 血糖値が高いとなぜ悪いのでしょう。
- 健康な人は食物摂取により糖・蛋白・脂肪が血液中に入ってきます。摂取する糖は多糖類、二糖類ですが吸収されるとブドウ糖を代表とする単糖類になります。また蛋白や脂肪からもブドウ糖は作られます。そしてこのブドウ糖(以下血糖)が一定以上にならないように調節しているのがインスリンでこれは膵臓から分泌されます。ところが、すい臓は血液中に一定より多くの糖分があるとインスリンをだすため働き続けやがて疲れてインスリンを出せなくなってしまいます。そこへ、又糖分がとり込まれ血糖値の常に高い状態に拍車がかかりやがて糖代謝異常をを起こしてきます。
- 血糖値が高いと知ったらどうしたらよいのでしょう。
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まずは、医療機関に相談しましょう。
糖尿病の診断基準(H10年改正)
1.空腹時血糖 126mg/dl以上 が、別の日に二回確認されたとき
2.随時血糖 200mg/dl以上 が、別の日に二回確認されたとき
3.糖負荷試験 200mg/dl以上(2時間値) が、別の日に二回確認されたとき
4.HbA1c( グリコヘモグロビン ) 6.5%以上
5.典型的な症状があるとき
(のどのかわき・多飲・多尿・体がだるい・体重減少・手足のしびれ・視力障害など)
4.又は5.がある、1.- 3.の検査が1回でも診断される。
HbA1c(グリコヘモグロビン)について
血糖値は、日々の食事によって影響をうけるので日によって値の変動があります。赤血球中のHb(ヘモグロビン)は、血管中で酸素を体のすみずみに運び炭酸ガスを肺に運ぶ役割をしています。又、血管中の糖分(グリコーゲン)の一部はHbと結合し、一旦結合すると離れなくなります。この結合した状態のHbをHbA1c(グリコヘモグロビン)といいます。HbA1cの量は、過去1-2ヶ月間の平均血糖値をよく反映するので、血糖コントロールの指標として最適です。 - 糖尿病のタイプ(1型と2型があります。)
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1型(インスリン依存型)糖尿病
小児や若い人に多くウイルスなどによるすい臓の病気でインスリンが全く分泌されなくなってしまうことで糖尿病になる。
2型(インスリン非依存型)糖尿病
中高年に多く(糖尿病の95%)を占め、体質や遺伝を持っている人がインスリン分泌機能低下や、妨害物質増加などによりインスリンがうまく働かなくなることによって糖尿病になってしまう。食べ過ぎ、ストレス、運動不足、加齢など生活習慣を原因とする場合が多い。 - 糖尿病と診断された時
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定期的に内科専門医・眼科で、指導治療をうけましょう。自己流、民間療法などではなく、病院で一定間隔毎に血糖値やHbA1cを測定してください。
- 自覚すること
- 症状のないことに甘えない。
- 油断しない……付き合いでつい暴飲暴食しない。
- どんな病気であるのか知ること……怖さを知ること。
- 放置しない……合併症を併発する確立が、高くなります。
- 糖尿病を治療せず放置すると恐ろしい合併症を起こします。
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三大合併症
網膜症 (眼)・・・・・失明
糖尿病性腎症 (腎臓)・・・・・人工透析
糖尿病性神経症 (神経)・・・・・神経痛 ぼける 神経麻痺
・眼神経麻痺・・・・・ある日突然、物が二重に見える。
・眼底出血・・・・・眼の奥でインクが、流れているように見える。突然失明する。
・脳梗塞、心筋梗塞
・自律神経失調症、精力減退
☆眼科、整形外科、脳神経科から内科(糖尿病の疑い)受診を勧められる事も多いのです。
治療法について
- 糖尿病は、コントロールする事で健康な人と同じように生活できる。
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自覚と、知識をもつことによりしっかり治療し良好にコントロールすれば、健康な人と変わりなくすごせることが可能です。生活習慣を改め、無理なく出来る方法を工夫するなどの意識をもちましょう。慣れてくると結構ふつうに生活することができ、むしろ以前よりも身も心も軽く快適に過ごせます。表を作ってコントロール状態を記録し自己管理しましょう。
体重変動・・・・・食事前
運動量・・・・・運動の種類・万歩計
食事・・・・・食品名
参考: HbA1c記録表
体重日内変動表
(MicorosoftExcel形式)
2型糖尿病の治療方法
食事療法、運動療法を主に行いできるだけ薬物療法にたよらないでみましょう。
但しその人の、状態でそれぞれ違いますので病院の医師と相談して決めることが大切です。
血糖コントロールの目標
出来れば 正常値
空腹時血糖・・・・・ 140mg 120mg 110mg以下
食後血糖・・・・・・・ 200mg 160mg 140mg以下
HbA1c・・・・・・・・・ 7%以下 6.5%以下 4.3〜5.8%
運動不足の人は特に体を動かすよう心がけましょう。
代謝異常を改善するには、食後30分に30分以上の運動を。
30分以上の有酸素運動(少し汗ばむくらいの持続運動…歩くなど)が効果的です。
歩くのがよいが、水泳、キャッチボール、ストレッチなどその他、できることでもよいでしょう。
日常、運動する時間が持てなくても仕事、作業、家事の合間で、体を動かしてみましょう。
やせてくると、筋肉も減ってくるのでダンベルなど筋肉運動も加えたいところです。
■食事療法について
まず知らなければならない事
標準体重…あなたの身長(m)の二乗に22を掛ける。
< 身長(m) × 身長(m) > × 22 (kg)
(標準体重になるよう 心がける。)
肥満指数(BMI)…22 が理想
あなたの 現体重を身長の2乗で割る。
現体重(Kg)÷ < 身長(m) × 身長(m) > -
1日の摂取カロリー
標準体重に25を掛ける。 ( Kcal )
・健康な人は、運動量に応じて 25〜30 を掛ける。
・重労働を仕事とする人は運動量に応じて 〜35 を掛ける。
1日の摂取カロリーで、なぜ指示カロリーがあるのか。
消費カロリー(日常生活の労働量) = 摂取カロリー (肥満度 + 食事の量)
1日の摂取カロリーを、毎日守れば限りなく標準体重に近づき、その後標準体重を維持することになる。
食物交換表(1単位:80Kcal)が、便利。
(他にもカロリー計算方法はいろいろあります。) 80Kcal分を1単位として、それぞれの1日にとるべきエネルギーを80で割り3食に分け、食品交換表 の6つのカテゴリーの中からバランスよく献立を作るものです。
正しい食事方法
- 1日3食必ず食べる。
1日摂取指示カロリーを3回に分けて。
間食は、昼-夕の間で。(もちろん摂取カロリーに加えます。)
インシュリンの効きの悪い人は、食事回数を多めに。 - 食事時間を決める。(夕食は、9:00までに)
- 良く噛んで ( 30回 )_
箸置きなど用意し楽しくゆっくり時間をかけて食べるようにすると満腹中枢が働きます。 - バランスのよい食事をしよう。
主食(糖)、おかず(蛋白・脂質)、野菜(ビタミン・ミネラル)を必ず食べる。
☆糖質の、ついつい摂り過ぎに 気をつけましょう。
・ご飯軽く1杯=110g=160Kcal=2単位
・玄米や、雑穀入りのご飯が望ましい。パンなら6枚切り1枚は80g
・ウイスキー(75ml)日本酒(1合)焼酎(1/2合)ビール(大瓶2/3)ご飯軽く1杯に相当
・芋、かぼちゃ、とうもろこし、小麦、パン粉、片栗粉、豆類、銀杏等は糖質も多い。
☆1日に必要な蛋白質= 1 ?1.2g × 標準体重 g
・肉は1日1回とし、脂肪の少ない赤身肉 (とり、豚、牛)
・青身魚・卵1ヶ(1日1回必ず食べるようにする。)
・白身魚(子持ちのものは卵の部分は食べない。)
・大豆製品 2-3回以上/週
☆野菜はゆでると沢山たべられます。
・青汁は歯ごたえなく繊維質も取り除かれていることが多い。なるべく調理したものを食べる。
☆お茶は、いくらでも良い。(缶ジュース、スポーツドリンク等は糖分を多く含むので飲まない。)
☆調味料等にも気をつけましょう。
・みりんは煮きってアルコールを飛ばして使う
・塩分はひかえめに(練り製品、ハム、缶詰、漬物、しらすぼし、化学調味料等は塩分多いので注意。)
・人工甘味料は好ましい。
・油、脂肪は控えめに。
☆調理方法で油炒め、天ぷら、フライなど油を使う調理は控えめに。
・蒸し物、焼きもの、煮物で調理するとよい。 - 食物繊維をとりましょう。
食物繊維には、食物の吸収・消化を抑え満腹感を与える効用があります。また、便秘を解消させ便通を整えるのにも効果的です。
- 1日3食必ず食べる。