アルコール体質について

梅雨入りし、ジメジメして嫌な季節になりましたね。

でもそんな梅雨でもあちらこちらに雨にぬれ、いっそう鮮やかできれいな紫陽花が咲いています。梅雨を楽しく過ごしてください。夏はもうすぐそこです。

 ところで、保健管理センターでは、今年度から「アルコール体質判定テスト」を始めました。あなたは「飲める体質」それとも「飲めない体質」か知っていますか?

日本人の4割は生まれつき「飲めない体質」なんだそうです。日ごろから自分の体がアルコールに対して適応性があるかないか知っておくことは、飲酒事故を未然に防ぐ手立てとなります。

是非、この機会に自分のアルコール体質を調べてみてください。20分で判定いたします。

体質のしくみ
 酒類の主成分はエチルアルコールです。アルコールは体内に入ると肝臓などで代謝(分解)され、まず「アセトアルデヒド」になります。このアセトアルデヒドが体内にたまると、顔が真っ赤になったり、心臓がドキドキしたり、頭が痛くなったりします。

 アセトアルデヒドは「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」によって今度は酢酸に分解され、最後は水と炭酸ガスになって体外に排出されます。この過程がスムーズにいくのが「飲める体質」の人です。

数種類あるALDHの中でも重要なのが「ALDH2」で、アセトアルデヒドが少量のうちからどんどん酢酸に分解していく性質をもっています。「飲めない体質」の人は、このALDH2がうまく働きません。そのため、飲むとアセトアルデヒドが体内にたまり、苦しい思いをするわけです。
未成年の方へ
 脳の神経細胞は約140億個と推定されていますが、出生前にほとんど全部が出来上がり、出生後は細胞数が増えません。しかし、神経細胞は細胞間の連絡網をどんどん拡げ、能力を高めたり失われた機能を代償したりします。感覚機能や運動機能を司る脳部位は12歳頃までにはほぼ完成しますが、理性、知性、創造といった知的活動を司る前頭前野や前頭連合野(額の部分)は20歳代前半まで発達を続け、特に10歳代後半に飛躍的に発達します。しかし、この発達段階で必要な刺激が与えられなかったり、逆に有害刺激が与えられると、その正常な発達が阻害される可能性があります。アルコールは神経細胞の活動を抑制するだけでなく、脂肪を溶かす性質によって神経細胞を破壊したり萎縮させたりする作用があります。

未成年の方は、このように飲酒が精神の発達や人格形成に取り返しのつかない多大な影響を及ぼす危険性があることを十分知っておいて下さい。
思いやりある飲酒マナーを
 アルコールに関する体質は、人によって大きな違いがあります。飲めない人に無理にお酒をすすめるのは拷問のようなもの。絶対にやめましょう。

 最後に、言うまでもないことですが、「一気飲み」は大変危険です。アルコールが急激に回り 昏睡状態になって救急車で運ばれたり、死亡することもあります。 千葉大学では、飲酒の強要・一気飲みの強制があった場合は学則に則り厳重な処罰が課せられます。

イッキ飲みはしない、させないのはもちろん、もしもやろうとしている人を見かけたら、「ダメだよ」と声をかけて下さい。

参考、引用文書
栗原 久 :アルコール・パッチ・シール(アルパッチ)取り扱い・解説書
樋口 進 :アルコールの害,少年写真新聞社,2002
樋口 進 :体質判定キャンペーンを成功させるための手引き