待ちに待った夏休み。サークル合宿、旅行、海、山などいろいろと予定がはいっていると思いますが体調は万全ですか?
梅雨が明けてから、この連日の猛暑で熱中症にかかり病院に緊急搬送されるケースが目立っています。
人間の体は、皮膚からの放熱や発汗によって体温を下げますが、外気が皮膚温以上の時や湿度が非常に高いと、放熱や発汗ができにくくなり熱中症を引き起こします。炎天下での運動、蒸し暑い屋内での作業など。熱中症は厳重な注意、予防、対処が必要です。 今回は熱中症についてお話しします。

熱中症の分類
分類 I度(軽症度) U度(中等度) V度(重症度)
症状 熱痙攣 熱失神 熱疲労 熱射病 古典的
努力性
発汗 あり あり あり(蒼白,冷感) なし あり50%
病態 低Na血症
(塩分不足)
一過性脳の血流減少(運動をやめた直後に多い)
全身の血液量減少
体液中の水分ならびに塩分の喪失
極度の脱力状態
自己温度調節機能障害による多臓器障害
    ↓
多臓器不全(死亡の危険)
  四肢や腹筋などに痛みを伴った痙攣 数秒間の失神
脈拍が速く弱い
過呼吸
めまい感、虚脱感、頭痛、吐き気、失神
ショック症状
U度+意識障害
   おかしな言動、行動
熱中症は暑いという理由だけでおきるというものではありません。起きる理由は体調や活動内容などさまざまな事情が重なり合っておきます。かかりやすい者、条件など少しあげて おきます。参考にして下さい。
かかりやすい人 体力の弱い人(新入生、体調不良者、二日酔い、下痢、睡眠不足)
肥満
高齢者
高血圧症
怪我や故障している人
暑さに慣れていない人、熱中症にかかったことがある人
性格的に我慢強い、真面目、引込み思案
気象環境条件 前日に比べ急に気温が上がった時
梅雨明けしたばかりの時
活動場所がアスファルトや砂の上
気温はそれほどでなくとも湿度が80%以上と高い時
休み明けの練習の初日
練習が連日続いた時の最終日前後
予防法
日本体育協会の「熱中症予防の原則」
熱中症予防8ヶ条
(1)知って防ごう熱中症
(2)暑い時、無理な運動は事故のもと
(3)急な暑さは要注意
(4)失った水と塩分を取り戻そう
(5)体重で知ろう健康と汗の量
(6)薄着ルックでさわやかに
(7)体調不良は事故のもと
(8)あわてるな、されど急ごう救急処置
1について
熱中症について知識をえましょう。軽い症状だからといってそのまま放置しておくと重症へと進行し、死に至る場合もあります。
2について
環境条件を把握し暑い時期の運動はなるべく避け、涼しい時間帯に行うようにし、急な激しい運動を避け、休憩と水分補給を頻繁に行う。
3について
熱中症は梅雨明け直後に多く、また急に暑くなった時にも起こります。
これは、体が暑さに慣れていないためで、急に暑くなった時は運動、活動を軽くおさえ暑さに徐々に慣らしていく必要があります。
4について
水だけでは吸収のスピードがあまりよくないため一緒に塩分をとることが大切です。
でも塩水はいくらも飲めませんので、そこへ糖分を加えたスポーツドリンクがいいでしょう。
アルコールやお茶類は脱水を引き起こしやすいので飲む量をコントロールしましょう。
5について
体重の3%以上の水分が失われると体温調節機能に影響が出るといわれています。
6について
服装は軽装で吸湿性や通気性の良い素材で色合いも白系統がいいでしょ
う。
直射日光は帽子で防ぎましょう。
7について
体調の悪い者は特に注意して下さい。
8について
熱中症の発症者が出た場合、応急手当をするのに準備しておいた方がいいもの

冷却剤(氷、アイスパック)
送風器具(うちわ、服などあおげるもの)
水もしくはぬるま湯(霧吹きがあればその中に水をいれておくといい)
スポーツドリンク
携帯電話(現場からすぐ救急車が呼べるよう)
対処法
手当ての基本
休息 衣服をゆるめ安静にする。
体を冷却しやすいようにする。
冷却 涼しい場所で休ませる。(クーラー、風通しの良い日陰)
必要に応じ冷却する。
氷嚢、アイスノンなどで脇の下、首のまわり、脚のつけねを冷し血液を早く冷します。また霧吹きなどで、水を吹きかけてその気化熱で冷す。その際送風も行う。寒いと訴えるまで続ける。やりすぎぐらいがちょうどいい。人間の体温は低温に強く高温に弱い。その際震えをおこさせないように。(マッサージするといい)
水分補給 意識がはっきりしていれば水分補給を行う。

意識障害がある場合、吐き気がある場合は医療機関での輸液が必要となる。
観察:傷病者が発生した場合まず意識を確認して下さい。
意識がない場合 意識がある場合
かなり状態は危険です。 迅速な処置が生死を左右します。発症から20分以内に体温を下げることができれば確実に救命できるといわれています。



冷却(氷嚢、アイスノンなどで脇の下、首のまわり、脚のつけねを冷し血液を早く冷します。また霧吹きなどで、水を吹きかけてその気化熱で冷す。その際送風も行う。移動が可能ならば涼しいところへ移動)を開始しつつ救急車を呼び至急医療施設へ搬送する。
3つの手当ての基本を行う。
(それ以外の各対処法)

痙攣している場合:体に水を吹きかけその上からぬれタオルでマッサージを行う。

失神(数秒程度):横に寝かせ、足を心臓より高く上げる。

顔面蒼白、脈拍微弱:横に寝かせ、足を心臓より高く上げ、医療機関へ搬送する。

顔色が赤い:寝かした状態よりやや上半身を高くし座らせた状態とする。

飲水困難:医療機関へ搬送する。

吐き気、嘔吐:医療機関へ搬送する。